イチジク詳細

イチジクの木は滑らかな白い樹皮を持ち、高さ3～6メートルまで育ちます。葉は香りが良く、長さ12～25cm、幅10～18cmです。中東や西アジアの原産で古くから栽培されており、果物や観賞用植物として世界の温暖な地域で広く栽培されています。

イチジクの木は古くから栽培されてきており、乾燥した日当たりの良い地域で自生しています。また、海抜1,700メートルまでの岩場でも育ちます。軽い土壌、水はけの良さが必要で、栄養が少ない土地でも栽培できます。イチジクは地下に深く根を伸ばして地下水を吸い上げる木です。水は一箇所に留まっているものよりも流れているものの方が良いので、谷など角度がある場所で地下水を吸い上げるのが理想です。季節的な干ばつに耐えることができ、中東と地中海沿岸の気候が特にイチジクの栽培に適しています。イチジクが実をつけるためには、イチジクコバチによる受粉が必要です。

イチジクの歴史：

イチジクは人類が栽培を始めた最も古い木の一つで、聖書、コーラン、ローマ建国神話にイチジクが頻繁に登場します。アダムとイヴが身体を覆っていたのはイチジクの葉だったと言われており、古代から人々に親しまれていたことが伺えます。 イチジクは古代ペルシャが原産という説がありますが、現在イチジクは西アジア、小アジア、地中海沿岸の広い範囲で栽培されています。 

エスターバンについて：
テヘランから南東に777km離れたファールス州エスターバン谷には、イチジクの生育に理想的な土壌と気候があります。 イチジクの木は寒さに弱いため、エスターバン谷の暑い夏とマイルドな冬は理想的な環境です。エスターバンの谷には2万ヘクタールの土地に200万本のイチジクの木があり、ほとんどの木は自生しています。エスターバンはイランのドライイチジクの90％を生産しており、イランで販売されているドライイチジクの殆どがエスターバン産です。 エスタハーバン谷にあるイチジクの木は、雨と地下水で育つため灌水の必要はありません。エスターバンはFAO（国際連合食糧農業機関）によって、世界最大のドライイチジクの生産地と認められています。

健康と栄養：

古代エジプト人は消化について関心が高く、断食をする習慣がありました。整腸作用のあるイチジクは、おいしくて健康的な食物として重宝されていました。イチジクは鉄、カルシウム、ミネラル、リン、カリウム、食物繊維が豊富で、ビタミンCとビタミンB群も少量ですが含んでいます。イチジク40グラムで244mgのカリウム、53mgのカルシウム、および1.2mgの鉄が取れます。脂肪、ナトリウム、コレステロールは含まれていません。イチジクはアルカリ性が強い食品で、体内のpHバランスを整えるのに役立ちます。イチジクは蜂蜜、生ハムと一緒に食べたり、り、ジンジャー、シナモン、クローブなどの甘い香辛料や、酸味のあるレモンやオレンジと合わせるなど、多彩な味わいが楽しめます。

繁殖：
その昔、中東とヨーロッパ、アジアを結ぶ交易路によってイチジクは世界の広い範囲に運ばれました。イチジクの木は幾つかの方法で簡単に増殖できます。主な繁殖方法は挿し木と接ぎ木ですが、種を使う方法もあります。

収穫：

イチジクは年に2回収穫できます。最初の収穫は昨年の芽が成長して取れるものです。メインの収穫は2回目で、その年の芽が成長し、夏の終わりから秋にかけて成熟します。この2回目の収穫は質と量の両方において1回目より勝ります。イチジクは、品種によって結実のために受粉が必要なものと、そうでないものがあります。受粉が必要な品種でそれが行われないと、果実は成熟する前に木から落ちてしまいます。授粉不要な品種は、育てやすく、家庭園芸に向いています。イチジクは枝に付いたまま完全に熟するのを待ちます。熟すと実がとても柔らかくなり、首の部分が曲がってきます。ドライイチジクは、枝に付いた状態で4，5日かけて完全に乾かし、収穫します。収穫後は12ヶ月間保存することができます。

剪定：
イチジクの木は剪定の有無に関わらず多くの実を付けますが、最初の年は剪定が必須です。生食用イチジクを育てる場合は、木の高さが低くなるように形を整えます。一度形が整った後は、前年度の芽から実が生るため、冬の剪定は避けるべきです。メインの収穫の直後や、生育が遅い場合は夏に半分の枝を刈り取り、翌年の夏に残りを剪定するのが良いでしょう。

肥料 :
多くの地域では定期的に肥料を与える事が必要ですが、エスターバンは肥沃な土壌を持ち灌水も行わないので、肥料は一切不要です。

食べ方：

イチジクは生または乾燥したものをそのまま食べる他に、ジャムを作ることができます。生のイチジクは長期間保存できないため、食品に使うはドライイチジクが適しています。